暖かな春の陽射しの下で、鮮やかなお花を咲かせるアネモネ。
丈夫で育てやすいので、初心者ガーデナーにも人気のお花ですね。
お手入れが簡単で育てやすいアネモネ、植えっぱなしでもいいという噂がありますが、これは本当なのでしょうか?
今回はアネモネのそんな噂の真相に迫りつつ、育て方や分球方法などについても詳しくお話ししていきます。
目次
アネモネとは?植えっぱなしOK?種類はいくつあるの?
まず最初に、アネモネがどんなお花なのかについてご紹介していきますね。
アネモネはキンポウゲ科アネモネ属のお花で、北半球の温帯から亜寒帯のかけて、100~120種が分布しています。
日本で古くから自生・栽培されているシュウメイギクもこのキンポウゲ科で、アネモネの近い仲間ですよ。
アネモネ属の中にも、たくさんの種類がありますが、一般的に「アネモネ」と呼ばれているのは、その中の「アネモネ・コロナリア」という種類になります。
今回はこのアネモネ・コロナリアのお話を中心にしていこうと思います。
アネモネ・コロナリアはヨーロッパ南部から地中海東部沿岸地域が原産地の、球根性の多年草です。
2~5月の春先に、白や赤、ピンクや紫色の鮮やかなお花を咲かせてくれ、切り花としても人気がありますよ。
ところで同じ球根性のお花のチューリップなどは、お花が咲いた後に必ず球根を掘り上げる必要がありますが、「アネモネは植えっぱなしでも大丈夫だよ」という噂を耳にしたことはありますか?
実はアネモネは噂通り、植えっぱなしでも大丈夫なお花です。
ただし、植えっぱなしにしておくためには、少しコツがあります。
アネモネはもともと、少し乾燥した地域が原産なので、日本の高温多湿の夏が苦手です。
特に、お花が咲き終わった後にくる梅雨はアネモネの大敵で、湿った土の中に球根を入れたままにしておくと、球根が腐ってしまうことがあります。
植えっぱなしにしておく場合は、鉢植えなど簡単に移動できるようにしておいて、花が咲き終わったら雨の当たらないところに移動し、鉢ごと乾燥させた状態にしてください。
10月下旬くらいから、少しずつお水を上げて吸水させ、球根を起こしてあげると、再び芽が出て花が咲くようになります。
こうすると、植えっぱなしのままでも大丈夫ですよ。
地植えにした場合は、植えっぱなしにせずに、一度掘り上げて、乾燥させてから保存してくださいね。
さて、このアネモネは品種改良が盛んに行われていて、たくさんの園芸品種がありますので、代表的なものをいくつかご紹介します。
【デカーン】
アネモネと言われて、真っ先に思い浮かぶイメージが、このデカーンのお花ではないでしょうか。
9~10枚ほどの大きな花弁と赤やピンク、青紫などの鮮やかな色が特徴的で、切り花でもよく目にします。
【セントブリッジ】
19世紀にアイルランドで作出された、少し細目で尖った花びらが特徴的な品種で、八重咲きのものが人気です。
赤や紫、ピンク、白色などの花色があり、花色によってはダリアのように華やかな印象のお花ですよ。
【モナリザ】
お花の直径が10㎝以上にもなる大輪の一重咲きの品種で、茎がしっかりとしていることから、特に切り花として人気があります。
白やピンク、紫色の単色のものから、花弁の根元に異なる色が入る複色のものまであり、とても豪華な品種です。
丈夫で育てやすく、切り花としても使えるアネモネ、お好みの色や形の品種がみつかったら、ぜひご自分で育ててお部屋に飾ってみませんか?
次はアネモネの育て方について、詳しくご紹介していきます。
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それではアネモネの育て方について、項目別にお話していきたいと思います。
【植え付け】
アネモネは地温が高い時期に植えると、球根が傷みやすいので、台風や秋の長雨のシーズンが終わった10月下旬頃に植え付けます。
私は朝晩が少し冷え込んできて、薄手のコートが必要になってきたな、という時期を目安にしています。
湿気があるところを嫌いますので、日当たりと風通しが良いところに植えましょう。
鉢植えの場合は用土を先に湿らせておき、地植えの場合も掘り起こした土が乾燥しきっているようなら、水分を与えておきます。
地植えにする時は、霜が降りるような地域では7、8cm、暖かい地域では3cmくらいの土が球根にかかるように植えます。
鉢植えは1cmくらいで大丈夫ですが、霜の当たらないところで育ててくださいね。
球根は白っぽい細い毛で覆われた芽があるほうが上、尖っている方が下なのでお間違えなく。
【用土】
水はけの良い中性から弱アルカリ性の土を好みます。
鉢植えの場合は、赤玉土中粒:腐葉土:酸度調整済みピートモス=5:3:2に混ぜた土に、適量のリン酸分の多い緩効性肥料と少量の苦土石灰を加えたものを使います。
石灰は1ℓあたり3gくらいが適量ですよ。
地植えの場合は、植え付ける1ヶ月くらい前から一度30〜40cmくらい掘り起こし、1m2あたり約100gの苦土石灰を入れてよく耕しておきます。
その10日後くらいに、牛ふんや腐葉土などの有機質肥料を土の2割くらい混ぜて、畑の準備をしておいてください。
【水やり】
鉢植えは植え付け時に湿らせた土に植えたので、4、5日後くらいから水やりを始めます。
その後は、鉢の土が乾いたらたっぷりあげてください。
地植えの場合は基本的に、雨にお任せして大丈夫ですよ。
【肥料】
用土の項目でもお話しましたが、元肥として植え付け時に緩効性肥料を混ぜておきます。
鉢植えは、芽が出て葉が1、2枚開いてきたら株元に化成肥料を与えて、花が咲き出したら月に2回程度液体肥料を与えます。
地植えの場合は、元肥だけでいいですよ。
【開花中のお手入れ】
花がらはこまめに摘みとって、種ができるのを防ぎます。
株元から引き抜くようにとってしまってokですよ。
また、枯れた花をそのままにしておくと、風通しが悪くなって蒸れやすいので、地面に落ちた花も含めてきちんと除去してください。
【病害虫】
アネモネはうどん粉病や灰色かび病、立ち枯れ病などにかかることがあります。
葉に白い粉がつくうどん粉病は3月から5月の春先に、灰褐色のカビが発生する灰色かび病は11月から5月の室内で育てている時に、そして茎や芽が腐って枯れてしまう立ち枯れ病は4月から5月に発生しやすい病気です。
これらの病気は見つけ次第、病変部を取り除いて蔓延するのを防いでください。
いずれの病気もカビが原因なので、風通しが悪かったり蒸れたりするとかかりやすくなります。
花がらや枯れた葉をこまめに除去するなどして、予防してくださいね。
また、春先の柔らかい新芽にアブラムシがつくことがあります。
こちらも見つけ次第、除去したり薬剤散布をしてください。
さてここまでアネモネの育て方についてお話ししてきましたが、球根性のアネモネはどうやって増やすのかご存知でしょうか?
次はアネモネの増やし方、分球についてお話していきます。
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アネモネの増やし方!分球で上手に増やすポイントは?
実はアネモネは分球という方法で、簡単に増やすことができます。
6月頃に花が咲き終わって葉も枯れたアネモネを、一度掘り起こします。
分球は掘り上げてすぐにしてもいいですし、植え付けの前にしてもいいです。
古い球根についている、小さな新しい球根を手で分けていきます。
球根は、枯れた葉や茎を取り除き、2、3日陰干ししてから通気性の良い袋やネットなどに入れて、風通しの良い日陰で保管してください。
アネモネは高温多湿が苦手なので、蒸れたり直射日光が当たるようなところに置きっぱなしにしないようにしてくださいね。
晩秋に【植え付け】と同じように植えると、早春にまた鮮やかお花をたくさん咲かせてくれますよ。
分球して増やしたアネモネ、今度は少し趣向を変えて寄せ植えで楽しんでみるのはいかがでしょうか?
次はアネモネを寄せ植えにする時のコツやポイントについてご紹介していきます。
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アネモネの寄せ植え!コツやポイントは?
アネモネは大きなお花を咲かせてくれるので、早春の寄せ植えの主役にぴったりですよ。
寄せ植えをする時の大事なポイントは、生育環境が似ているお花を組み合わせることですが、お花が同じ時期に咲くかどうかも大切です。
私は同じ球根植物で早春にお花が咲くムスカリとよく組み合わせています。
実はムスカリも植えっぱなしでも大丈夫なので、管理が楽でアネモネとの相性がとてもいいんですよ。
また、アネモネやムスカリだけだと株元が寂しくなりがちなので、ビオラやスイートアリッサム、ロベリア、シロタエギクなどのあまり背が高くないものと組み合わせるとまとまりやすくなります。
デージーやノースポール、プリムラジュリアンなどのこんもりと広がるお花と組み合わせても素敵ですね。
寄せ植えに限らず、アネモネのお花が咲き終わった後はどうしたらいいのでしょうか?
アネモネの開花後のお手入れについてお話していきます。
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アネモネの花が終わったら?球根を掘り上げるのが有効なの?
アネモネのお花が終わったら、どのように管理すればいいのでしょうか?
「植えっぱなしでもいいの?」というお話でも少し触れましたが、アネモネのお花が咲いた後は、植えっぱなしにしていてもいいですが、球根を掘り上げて管理する事もできます。
掘り上げておくことのメリットは、球根の状態を確認できる事です。
アネモネは高温多湿に弱いため、球根も土の中に入ったままだと気が付かないうちに傷んでしまったり、腐ってしまうことがあります。
植えっぱなしにして鉢ごと管理する事もできますが、球根を掘り上げて乾燥させ、風通しが良い日陰で管理した方が、失敗が少ないですよ。
それでは、アネモネについてたくさんお伝えしましたので、最後にまとめましょう。
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まとめ
今回は、アネモネの育て方や分球の方法などについてお話しました。
アネモネは100〜120種あるキンポウゲ科アネモネ属全般を指しますが、園芸的にはその中のコロナリア種をアネモネと呼んでいます。
育て方は、10月下旬に日当たりと風通しの良いところに植えて育てると、2月下旬からお花が咲きます。
増やし方は、地上部が枯れたら球根を掘り起こして分球し、風通しの良い日陰で保存します。
寄せ植えは、同じ時期に花が咲く、ムスカリやビオラ、スイートアリッサムなどと相性が良いです。
開花後のアネモネは、植えっぱなしで鉢ごと乾燥させておくこともできますが、球根を掘り上げて保管すると、傷む心配が少ないです。
鮮やかなお花で春の訪れを告げてくれるアネモネ、育てやすいお花なのでお好みの種類を見つけてぜひチャレンジしてみてください。
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