小さなお花を細い枝いっぱいに咲かせるエリカ、可憐で繊細な姿が魅力的ですよね。
実はこのエリカ、たくさんの種類があるのをご存知でしょうか?
いろいろな種類があるなら育ててみたいという方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、エリカの種類や育て方、挿し木の方法、長く楽しむために枯れてしまう原因などについてお話ししていきます。
また、エリカを寄せ植えで楽しみたい方のために、コツやポイントについてもまとめていますので、ぜひご覧下さいね。
目次
エリカの花とは?種類があるの?
エリカはどんなお花なのでしょうか?
エリカはツツジ科エリカ属のお花の総称で、740種ほどあると言われています。
英語ではヒース(heath)、ドイツ語ではハイデ(heide)と呼ばれていますが、どちらも荒野を意味しています。
ヨーロッパに自生するエリカは、泥炭質の寒冷地を好むものが多く、荒涼とした原野に群生しているので名付けられました。
古い小説や映画が好きな方には、エミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」の舞台になったところ、と言った方がイメージしやすいかもしれませんね。
エリカは南アフリカにも自生していますが、日本には自生種はなく、大正時代に渡来し、40〜50種が園芸種として流通しています。
花期は品種によってさまざまで、冬〜春に咲くもの、春〜夏に咲くもの、秋咲きのもの、秋〜冬に咲くものとバリエーション豊かです。
花の色も赤、ピンク、白、オレンジ、黄色とさまざまですが、小さな筒状もしくはベル形のお花を咲かせるところは共通していますよ。
ここで、代表的な品種をご紹介していきたいと思います。
【ジャノメエリカ】
冬〜春にお花が咲くエリカの代表種で、南アフリカ原産の常緑低木です。
花の色は赤、ピンク、白色があり、小さな鈴のような形のお花で茶色のおしべが目立ちます。
比較的大きくなるのも特徴的で、60〜200cmになることもあります。
園芸種には白いお花のアルバ、淡いピンクのロゼアなどがあり、人気があります。
【スズランエリカ】
南アフリカ原産の常緑低木で、学名のエリカ・フォルモサで流通していることもあります。
あまり背が高くならない品種で、大きくなっても60cm程度のふさふさとした樹形になります。
冬〜春にかけて、名前の通りスズランのようなぷっくりとした可愛いお花を咲かせます。
紛らわしいですが、こちらも園芸種には白いお花のアルバ、淡いピンクのロゼアなどがあります。
【カナリーヒース】
南アフリカ原産で、筒状の黄色のお花が印象的なエリカです。
別名はエリカ・ブランドフォーリアと言います。
早春に花を咲かせ、30〜100cmの大きさなので、鉢物として売られていることもあります。
耐寒性はありますが、高温多湿に弱いので注意が必要です。
【ファイヤーヒース】
オレンジ色の細長い筒状のお花が特徴的なエリカです。
別名エリカ・セリントイデスやファイヤーエリカとも呼ばれ、南アフリカ南部に広く自生しています。
花期は11〜3月と長めですが、寒さに弱いので室内で楽しむと良いですよ。
【ベルヒース】
西ヨーロッパ原産のエリカで、あまり大きくならず、ドームのような形で地面を覆うように広がって伸びます。
花期は6〜9月、赤やピンク、白、紫色の小さな鈴のようなお花を咲かせます。
蜜をたくさん生産するので、開花中は良くミツバチが集まってきます。
紫色のお花のアトロプルプレアや黒紫色のベルベットナイトなど、他にはあまり見られない色のお花を咲かせる園芸種があります。
【エリゲナ】
西アイルランドやスペインなどに自生するエリカで、とても耐寒性がある種類です。
濃いライラック色のベル型のお花が特徴的で冬から春にかけて開花し、お花は蜂蜜のような甘い香りがします。
樹高が2.5m近くなることもあり、原産地では低い生垣として使われることもあります。
まだまだたくさんあるのですが、代表的な品種や特徴的なものをご紹介してみました。
気になった種類はありましたか?
お気に入りの品種を見つけたら、今度は自分で実際に育ててみましょう。
次はエリカの育て方について詳しくご説明していきます。
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エリカの育て方!植え付けや剪定などのコツやポイントは?
それではエリカの育て方について、項目別にご説明していきます。
【栽培環境】
原産地の気候や土壌条件に近い、日当たりと風通しが良い痩せ地を好みます。
多湿に弱いので、梅雨時などは注意が必要ですよ。
また、ヨーロッパ原産のものは耐寒性が高く、暑さに弱く、南アフリカ原産のものは逆に寒さに弱く、比較的高温でも大丈夫です。
エリカを育てる時には原産地に注目して、お住まいの地域の気候に合わせ、育てやすい品種を選ぶといいですよ。
【植え付け】
植え付けは気候が穏やかな春か秋に行います。
つぼみがついていたりお花が咲いている時期は避け、お花が咲き終わったら植え付けましょう。
ジャノメエリカは比較的強健で耐暑性、耐寒性があるので温暖な地域では地植えにできますが、その他の種類は鉢植えにして、いつでも移動できるようにしておく方が無難です。
【用土】
根が細く、過湿や乾燥で傷みやすいので、通気性と水はけ、水もちが良い土を使います。
また、弱酸性の土を好みますので、赤玉土:鹿沼土:ピートモス=4:4:2の割合で混ぜた土を使います。
寒冷地ではピートモスのみでも育ちますが、夏場、高温多湿になると蒸れて根が傷みますので注意が必要です。
我が家は冬、雪が降るような寒冷地にありますが、最近の夏は35℃を超えることも珍しくありません。
ピートモスのみで育ててみましたが、やはり蒸れて傷んでしまいました。
夏の最高気温が30℃を下回る地域でないと、ピートモスのみでの栽培は難しいみたいですね。
【水やり】
エリカは乾燥させすぎず、加湿にもならないように水を与えます。
鉢植えは水切れを起こしやすいので、土の表面が乾いたらあげるようにしてください。
地植えの場合は、雨にお任せして大丈夫ですよ。
【肥料】
もともと痩せ地に育つお花なので、多肥を好みません。
成長期の春と秋に月に一回程度、置き肥を施します。
夏は休眠期になるので施肥は控えてくださいね。
【剪定】
お花が咲き終わったら、花がら摘みを兼ねて剪定をしましょう。
株が枝全体に一斉に咲くジャノメエリカなどの品種は、枝の半分から1/3くらいを切り詰めます。
枝先にお花を咲かせるファイヤーヒースのような品種は半分以下の長さに切り詰めても大丈夫です。
また、全体的に透くように枝を根元から剪定して蒸れを防ぐのも、多湿が苦手なエリカには効果的ですよ。
【植え替え】
エリカは細かい根がたくさん出るので、鉢植えだと根詰まりを起こしやすくなります。
1年に一度を目安に、植え替えをしていきましょう。
植え付け同様に、春か秋に一度鉢から出して根鉢を崩し、傷んだ根や古い根をカットします。
剪定と一緒にやると忘れずにできるのでおすすめです。
地植えにしたものは、基本的に植え替えは行いません。
移植すると根を傷め、枯れてしまうことがあるのでご注意くださいね。
さて、ここまでエリカの育て方についてお話してきましたが、エリカを増やしたいときにはどうしたらいいのでしょうか?
次はエリカの増やし方についてお話していきます。
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エリカの挿し木!増やし方のコツや失敗の注意点は?
エリカは挿し木で増やすことができますので、その方法をご紹介しましょう。
挿し木をするのは春か秋が適していますが、発根と成長に時間がかかるので、温暖な地域では秋に、寒冷地では春に行うのがおすすめです。
5〜6月に花のついていない枝を選び、5〜10cmくらいの長さに切り取ります。
切るときは枝に対して直角ではなく、斜めに切ると水があがりやすくていいですね。
下半分くらいの葉をすべて取り除き、1時間ほど水につけて水あげします。
肥料分が含まれていなく清潔なバーミキュライトや川砂、鹿沼土などの挿し木用の土に挿し、明るい日陰で乾かさないように管理しましょう。
この時、ルートンなどの発根促進剤を切り口に塗ると、発根率が高まりますよ。
また、挿し木をした鉢全体を空気穴を開けた透明なビニール袋で覆って、温度や湿度を一定にさせると、成功率があがります。
1〜3ヶ月ほどで発根しますが、苗がしっかりしてくる秋までそのまま育て、その後植え付けと同じように定植してくださいね。
挿し木にする枝は、剪定した時の枝でも大丈夫なので、私は剪定のついでに行っています。
さて、増やしたエリカを使って、今度は寄せ植えを楽しんでみませんか?
次はエリカを寄せ植えにする時のコツやポイントについてお話ししていきます。
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エリカの寄せ植え!相性の良い植物やコツやポイントは?
エリカは品種によって花期はさまざま。
ですが、冬から春にお花を咲かせる種類は、特にお庭が寂しくなりがちなこの時期の寄せ植えにぴったりなんです。
エリカはこんもりとした姿で背も高めなので主役として植え、組み合わせるお花は小さくまとまるものや、ハツユキカズラやグレコマなどの枝垂れるものと組み合わせるとバランスがとりやすいですよ。
また、エリカのお花は比較的小さいので、大きめのお花が咲くものと組み合わせると、見栄えがします。
冬の寄せ植えでしたら、同じ時期にお花を咲かせるパンジーやビオラはもちろん、ガーデンシクラメンや葉牡丹と相性抜群です。
また、春の寄せ植えでしたら、プリムラやデージー、ネメシアなどと組み合わせると素敵です。
エリカはたくさん品種があるので、何種類か混ぜるとおもしろいですよ。
ところで寄せ植えにもぴったりで丈夫で育てやすいエリカですが、たまに元気がなくなって葉を落としたり枯れてきてしまうことがあります。
何が原因なのでしょうか?
次はエリカが枯れてしまう原因とその対処法についてお伝えしていきます。
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エリカが枯れる!失敗の原因や対処法は?
せっかく育てているエリカが枯れてしまったら、ガッカリしてしまいますよね。
エリカが枯れてしまう一番の原因は、水切れです。
葉が緑のまま落ちてしまったり、茶色くなってきたときは要注意ですよ。
一度乾燥してしまうと衰弱し、枯れてしまうので、土の表面が乾いたらこまめに水をあげるようにしてくださいね。
また、梅雨の多湿や夏の暑さに弱い種類が多いので、軒下に移動したり、風通しが良い涼しいところで夏越ししてください。
それでは、エリカについて最後にまとめましょう。
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まとめ
今回はエリカの種類や育て方、挿し木と寄せ植えのコツなどについてお話ししてきました。
エリカはツツジ科エリカ属の総称で、ジャノメエリカやスズランエリカ、ファイヤーヒースなどが代表的な種類です。
日当たりと風通しが良い痩せ地を好み、通気性と水はけが良く水もちする土を好みます。
植え付けは春か秋に行い、土の表面が乾いたら水を与えて育てます。
春と秋に挿し木で増やすことができますが、温度や湿度を保つためにビニール袋で覆って管理します。
寄せ植えはパンジーやガーデンシクラメン、プリムラやデージーと相性が良く、主役として活躍してくれます。
乾燥し水切れすると枯れやすいのでご注意下さい。
種類も豊富で小さなお花が愛らしいエリカ、育てやすいお花なので、寄せ植えや花壇など、さまざまなところで楽しんでみてくださいね。
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