お隣の家の生垣が鮮やかな桃色の花に染まっています。
はらはらと散り方まできれいです。
そう、これがサザンカです。
このサザンカの育て方はご存じでしょうか?
演歌にも出てくる有名な花ですが、育て方というとなかなかピンと来ないかもしれませんね。
そこで今回は、サザンカの育て方、剪定・増やし方、寄せ植えのポイントなどを含め大公開していきますよ。
目次
サザンカの特徴と開花時期!椿との違いは?
サザンカはよく知られている花ですが、ツバキとの違いがわからない方が多いかと思います。
ツバキとの違いも含め、改めてサザンカがどんな花なのか見ていきましょう。
サザンカは10~4月に咲くツバキ科の小高木です。
日本を代表する花といってもいいでしょう。
白や桃色に紅色、ぼかしが入った色合いの花が、晩秋からの寂しい庭に彩りを添えるといったところでしょうか。
花の大きさも小型から大輪のものまであり、咲き方も一重から半八重咲きと実に様々。
これら今、出回っているサザンカはすべて作出された園芸品種になります。
原種のサザンカは自生地でないと見ることができません。
昔は実から油を採ったりしていました。
ところでサザンカとツバキとの違いについてですが、簡単に見分けられます。
それは花の散り方です。
花びらがぱらぱら散るのがサザンカ、花がまるごとぽとりと落ちるのがツバキです。
他にサザンカには香りがあって、ツバキにはない等があります。
ただ、ハルサザンカ系のようにサザンカとツバキの両方の性質を受け継ぐものもあり、簡単には言い切れないところもありますね。
サザンカがどんな花かわかったところで、次からは育て方について見ていきたいと思います。
植え付けや大切な剪定についても取り上げますので、しっかり見て下さいね。
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サザンカの育て方!植え付けや剪定(切り戻し等)のコツ
では、サザンカの育て方をはじめ、植え付けや剪定のコツについてお話していきます。
なお、これから出てくる時期的なことは、お住まいの地域やその時の気象条件によって多少違ってきますので、あくまで参考にということで。
①育てる環境
【庭植え】
サザンカは水はけがよく、木漏れ日のあたるような半日陰が育ちます。
かつ、夏は強い日差しを避け、冬は冷たい風が当たらない環境ですね。
わらが入手できれば、乾燥、防寒対策で株元をマルチングするといいでしょう。
【鉢植え】
春先から晩秋までは半日陰で西日が当たらない場所で育てます。
冬場は軒下や暖房の入っていない室内に鉢を移動させます。
乾燥、暑さ対策では湿らせた水ゴケを使い、鉢土の表面を覆うといいですね。
②植え付け
サザンカの植え付けの時期は、春期(3~4月)梅雨期(6~7月)秋期(9~10月)になります。
【庭植え】
すでにお話したように半日陰で、寒風が吹き付けない等の場所を選びます。
①根鉢の2倍ほどの直径、深さの穴を掘ります。
掘り上げた土に腐葉土や堆肥をブレンドしておきます。
②根鉢を軽くほぐします。
根がかなり回っているようなら、少々切り詰めても可です。
深植えはせず、やや高い位置で植え付けになります。1でブレンドした土でしっかり踏み固めて下さい。
③株の周りに土手のように土を盛り上げて、水鉢を作ります。
水鉢を作るのは、根元までしっかり水が行き渡るようにするためです。
あとはたっぷり水をやります。根付くまで水やりをかかさずに。
倒れないように、支柱を立てておくと安心ですね。
【鉢植え】
鉢は苗よりひと回り大きなものを用意します。
プラスチックの鉢より、テラコッタ鉢などの通気性がいいものをおすすめします。
①庭植えと同じく根鉢を軽くほぐすか、根が回っていたら少しカットします。
②根鉢と用土が同じ高さになるように、土を入れます。
割りばしなどを使い、ぎっしり詰め込んで下さい。
③植え付けたら、鉢底から水が流れるくらいにたっぷりと水をあげます。
強い日差しや寒風が直接当たる場所は避けて、管理して下さいね。
④肥料は植え付けて1~2ヶ月ほど経ったところで、800倍に薄めた液体肥料をあげてください。
③用土
サザンカは基本、水はけさえよければ土を選びません。
庭植えなら、植え付けのところでもお話したように、腐葉土や堆肥をすき込んでおくだけでも違うでしょう。
サザンカは酸性の土を好む傾向にあります。
鉢植えなら、例えば川砂4:赤玉土4:腐葉土2または日向土6:鹿沼土4を混ぜた土が水もち、水はけの面から良いと思われます。
④肥料
サザンカの肥料は、庭植えなら寒肥として2~3月に1度与えるだけです。
寒肥とは冬の休眠中、春の新芽を促すために与えます。
油粕や堆肥などがいいでしょう。
樹冠の下にぐるっと溝を掘って、肥料を置き土をかけます。
鉢植えなら、2~4月に1回と9月にも1回、油粕または緩効性化成肥料を置肥します。
緩効性化成肥料は、効果が長い間にわたってゆっくりと効く肥料です。
速効性の液体肥料と比べ失敗も少ないです。
⑤水やり
サザンカの水やりですが、庭植えならひどく土の表面が乾いている時にあげます。
近年は猛暑なので、庭植えでも水をあげないわけにはいかないでしょう。
鉢植えの水やりの基本は、土の表面が乾いてきたらたっぷりと水やりになります。
夏の間は1~2日に1回、寒い冬場は週1~2回、春に暖かくなってきたら週2~3回。
これはあくまで目安なので、状況に応じて水をあげて下さいね。
⑥剪定
サザンカは生長が遅いため、2~3年植えっ放しでも大きく樹形は乱れたりしません。
ただ剪定をすることで、樹形を保つのはもちろんのこと、風通しもよくなります。
風通しがよければ、病害虫の発生も防げ、日当たりもよくなるメリットがあるのです。
サザンカの剪定は花が終わってからの3月が適期です。
遅くとも4月半ばまでには済ませましょう。
剪定が遅れると花芽を切ってしまいますので。
剪定というとむずかしく考えてしまうかもしれませんが、実はとても簡単なのです。
①サザンカの基本の剪定は、花が終わった枝のカットです。
花後の枝から葉を3~5枚残してカット。
葉のすぐ上で芽を傷つけないように切って下さいね。
②徒長枝や不要枝もカットします。
徒長枝は株の付け根からカット。
込み枝や枯れ枝、細い枝といった不要枝も株の付け根から取り除きます。
③ここまで剪定をして、好みの樹形がうまく保てなければ、飛び出した枝を枝の途中で切り樹形を整えます。
サザンカの剪定は春ですが、もし夏以降に伸びすぎた枝があれば、その部分だけをカットするだけにします。
⑦病害虫
サザンカ栽培で最も注意したいのは、チャドクガ対策です。
チャドクガは春と夏、葉に産み付けられた卵から幼虫が発生し、葉を食害します。
また幼虫や脱皮した殻の毒気に触れると、強いかぶれかゆみを引き起こします。
まず葉裏で卵を見つけたら葉ごと取り除きます。
あるいはチャドクガの発生前、発生後すぐに、株全体に薬剤を散布しておきます。
何より剪定をして、風通しをよくしておけば、チャドクガ対策になります。
ここまで、いかがでしたか?
サザンカは強くて丈夫な花ですから、とても育てやすいのです。
育て方までわかったところで、次はサザンカの増やし方についてお話していきましょう。
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サザンカの増やし方!種まき・挿し木・取り木のポイントは?
サザンカを増やすには、いくつかの方法があります。
ここでは比較的簡単な、種まき・挿し木・取り木による増やし方を取り上げます。
それぞれに利点や特徴があるので、順を追って説明していきます。
まず種で増やす場合は2つの方法から入ります。
【種で増やすとりまき】
①9~10月、果実が裂けて黒い実が見えてきたら採り時です。
同じ木の他の未裂の果実もあわせて採取します。
②採取したら保管せず、小粒の赤玉土などにまきます。
とりまきにするのは、サザンカは時間が経つと種が乾燥して、発芽率も悪くなるためです。
実際、こぼれ種から発芽しているのも、半日陰ぐらいの落ち葉に隠れるような湿っぽい場所です。
まいた後も、発芽するまで乾燥しないように気をつけて下さい。
【種で増やす水ごけを使う】
①採りまきにしなければ、しばらく種を保管して発根させます。
種の保管の仕方ですが、乾燥させないように湿らせた水ごけで巻きポリ袋に入れて密閉します。
種はカビもふくので、袋の中の種は重ならないようにして下さい。
ポリ袋を暖かい室内に吊るし、発根する様子を見ていきます。
②早いものは12月、通常3~4月に発根します。
根が3~4cm程になった種を取り出し、根を半分の長さにカット。
これを小粒の赤玉土を入れたポリポットに入れ、1cmくらい覆土します。
根をカットするわけは、切り口からさらに細い根が出てきて根張りがよくなるから、それだけ丈夫に育つということです。
③ポリポットに植え付けて1ヶ月後ぐらいに、油粕などを施肥します。
半日陰に置いて管理し、2ヶ月ほどで発芽してきます。
サザンカを種で増やすにあたって知っておきたいのは、親木とは違った花が咲くということです。
これはサザンカが自家受粉を避け他家受粉(他の品種で受粉)で結実させていっている植物だからです。
つまり、あなたのオリジナルのサザンカも見れるということです。
また採りまきで増やすか、水ごけで増やすかですが……。
保管の手間もなく簡単なのは、とりまきでしょう。
ただとりまきで育てると根がカットできないので、根だけがひょろひょろと長くなってしまうのが難点です。
いずれにせよ種から育てた場合、花が咲くまで3~4年は見ていて下さいね。
【挿し木で増やす】
サザンカの挿し木は1年中できますが、6月下旬から8月下旬までにする夏挿しがおすすめです。
春にも挿せますが、開花期は根がつきにくいです。
夏挿しの中でもいいのは湿度もある梅雨の時期です。
①まず挿し木には、今年伸びた新枝で元気で太いものを使います。
日がよく当たっている先端の方から選んで下さい。
切り口を水平にカットし、葉も2~3枚残してあとは落とします。
カットしたら30分から1時間、水につけておきます。
②挿し床で使うのは、6~7号の浅めの鉢がおすすめです。
用土は鹿沼土、小粒の赤玉土などを使います。
挿す前に用土を十分湿らせておきます。
③3~4cm間をあけて、同じ深さになるよう垂直に挿していきます。
下葉同士が、くっついても大丈夫です。
挿した都度、根元の土を押えていきます。
④挿し終わったら、再び水をあげて作業終了です。
半日陰に置いて、10日ほどは毎日軽く水をやる程度にします。
そのあとは、土の表面が乾いてきたら水やりです。
やり過ぎて根腐れを起こさないように注意ですね。
⑤1ヶ月ほどで発根してくるので、800倍に薄めた液体肥料を11月まで月2度あげます。
挿し木して1年後の翌年6~7月頃に、ポリポットなどに植え替えできます。
親木と同じ花を咲かせたいなら、挿し木がいいでしょう。
挿し木でも花が咲くまで3年はかかるようです。
【取り木】
サザンカの取り木は3~6月が適期です。
①枝先から20~30cmのところ枝の樹皮を幅2~3m、ぐるっと削り取ります。
中の木質部が見えるくらいまで削って大丈夫です。
清潔でよく切れるナイフを使って下さいね。
ナイフをライターであぶったり、アルミホイルで擦ったりしても消毒になります。
②削り取った箇所に湿らせた水ゴケを巻き、さらに上から黒ビニールを被せます。
黒ビニールを被せたらは下はヒモでしっかり縛り、上は雨水がはいってもいいよう緩めに縛ります。
作業後しばらくの間は葉にも水をかけてあげましょう。
削り取った部分は、水ゴケが乾いたら水やりになります。
③1~3ヶ月ほどで発根してきます。
新しい根の下から切り取り、植え付けになります。
取り木は一度にたくさん増やせませんが、挿し木より確実な方法です。
「これならできそう」と思ったら、ぜひサザンカを増やすのにもチャレンジしてみて下さいね。
ここまででサザンカの育て方、増やし方までの説明が終わりました。
ここまでくると、そう、次は寄せ植えの話になります。
サザンカの寄せ植えって、どんな感じになるのでしょうか。
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サザンカの寄せ植えのコツとポイントは?
ここからはサザンカの寄せ植えを取り上げます。
サザンカってやはり落ち着いてしっとりしたイメージがありますよね。
以下、そんなサザンカを引き立てるおすすめの植物を選んでみました。
①ギョリュウバイ
②ユキヤナギ
➂ジンチョウゲ
④ヤブコウジ
⑤ハボタン
⑥ハナトウガラシ
⑦ツデー
はじめて名前を聞くものもあるかもしれませんね。
ご説明しましょう。
①ギョリュウバイ(御柳梅)は梅に似たかわいい花がたくさんつきます。
樹高も高くならず、花期も長いので寄せ植え向きです。
②ユキヤナギは雪のような白い花をいっぱいつけます。
細い枝がしだれる姿がとても美しいです。
➂世界三大香木のひとつジンチョウゲは、半日陰のようなところでよく育ちます。
④赤い実をつけるヤブコウジはお正月の縁起植物です。
⑤ハボタンもお正月の寄せ植えにぴったりのおなじみの植物です。
⑥ハナトウガラシは、観賞用に作られたトウガラシです。
カラフルな五色の実に加え、葉の色も変わったものも出てきました。
⑦ツデーはタマシダの仲間です。
波打つような黄緑色の葉がどんな花にもよく合います。
サザンカの寄せ植えをはじめるにあたり考えなくていけないのは、サザンカが小高木だということです。
店頭などで入手できる花つきの株は、ある程度の大きさになっているはずです。
ですから、サザンカを寄せ植えする場合もそれなりの大きいコンテナや鉢が必要となるでしょう。
コンテナを動かしたい時に困らないように、そのあたりも考えて植え付けをはじめて下さいね。
ちょっとした小庭があれば、そういうスペースで寄せ植えもいいかもしれません。
植え付けは全体のバランスを見ながら、まず仮置きしていきます。
はじめに主役のサザンカの位置を決めてから、両脇や手前にくる花を決めていくといいでしょう。
枝がしだれるユキヤナギなどは手前に配置するのがいいでしょう。
生け花をしているイメージでやってみてはいかがでしょう。
植え付けが終わったら、たっぷりと水をやって完成です。
今回はサザンカに合う落ち着いた感じの植物を選びましたが、これはほんの一例です。
是非、あなた好みの寄せ植えで、サザンカを引き立てて下さいね。
さて栽培をしていると、いいことばかりでなく上手くいかないこともあります。
最後に、サザンカを育てていくうえでの、お悩みや困りごとにお答えしていきたいと思います。
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サザンカが病気になった!枯れるなどの原因と対処法
ここでは「サザンカが病気になった」「枯れた」といったよくあるトラブルについて取り上げ、それぞれその原因と対策をさぐっていきます。
【病気になった】
原因:葉が餅のように肥厚していったら、「もち病」と思われます。
もち病は4~5月ごろ発生するサザンカによくみられる病気です。
葉が肥厚していき、葉裏に黒灰色の胞子を作って胞子を飛ばします。
飛ばされた胞子が翌年の病原となるのです。
対策:胞子の出来る前に膨張した病害葉を枝ごと処分することです。
胞子が飛ぶ時期に、株に薬剤を散布しておくことでも枝や葉への付着を防げます。
【枯れた】
原因①:水をやり過ぎて根腐れをおこしているか、水切れで枯れたのかもしれません。
対策①:水やりのタイミングは土の表面が乾いたらたっぷりと与えるです。
手で土を触ってみてぱさぱさ乾いていたらあげます。
庭植えにしても放ったらかしにせず、何日も雨が降らす乾燥していれば水をやって下さい。
原因②:カイガラムシのせいかもしれません。
サザンカにつきやすい病害虫のひとつです。
葉や茎の汁を吸って株の生長を止まらせ、被害が拡大すると枯れます。
おまけにカイガラムシの排泄物で葉がすすがついたように汚くなる、すす病も発生します。
対策②:カイガラムシを見つけたら薬剤を散布するか、へらなどで取り除き処分します。
何といっても風通しのよければカイガラムシは発生しにくくなります。
きちんと剪定して、込み入った枝などを取り除いておくのが大事です。
それでは、サザンカの育て方について最後にまとめましょう。
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まとめ
今回はサザンカの育て方や増やし方、寄せ植えのコツなどについてご紹介しました。
- サザンカは晩秋から庭に色を添える日本を代表する花です。
- 水はけがいい半日陰でよく育ちます。
- 種まき、挿し木、取り木で増やせます。
- 寄せ植えはサザンカの落ち着いたイメージに合う植物がおすすめです。
- サザンカのもち病は胞子ができる前に病害葉を処分します。
咲くのも散るのまでも美しいサザンカ、長く楽しんで下さい。
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