豪華なバラの中にまぎれてひっそりと小さな白い花をつけるノイバラの育て方をご存じですか?
増やし方や寄せ植えのやり方が気になっている方もいるでしょう。
今回は、そんなノイバラの花言葉や育て方、増やし方や寄せ植えのコツについて詳しくお伝えします。
また、せっかく育てたノイバラが枯れたり、咲かないとお悩みの方のために、その原因と対処法についても解説します。
目次
ノイバラには種類がある?花言葉や開花時期は?
まずはじめにノイバラとはどんな花なのでしょうか?
ノイバラ(野茨)は学名Rosa multifloraといい、万葉集の時代から日本に自生していた半つる性の原種のバラです。
原種のバラとは、交配されて作られたのではない野生のバラということ。
バラのいろいろな品種が作出されるとき、その台木になるのもノイバラです。
さて、学名のmultifloraは「たくさんの花がつく」という意味があり、その名の通り房咲きの白い小さな花がたくさん咲きます。
花期は4月〜6月ごろで、よい香りがし、秋には赤い実もなります。
小さなトゲがいっぱいついているので、気づかず触ってチクリとなるので気をつけてくださいね。
強い香りがあるテリハノイバラは、ノイバラと同じ原種のバラの仲間。
ピンクの花びらのサクラバラも、ノイバラの系統です。
そして、ノイバラには見た目にぴったりな花言葉があります。
それは「素朴なかわいらしさ」、「純粋な愛」です。
バラのような華やかさはなく、控えめに白い花をつける姿が物語っていますね。
人の心を和ませるというか、そんなイメージです。
他にも「詩情」という花言葉もあり、これは「野ばら」の詩を書いたゲーテと作曲したシューベルトに関係があるようですね。
さて、ノイバラとはどんな花かわかったところで、ここからは気になる育て方についてお伝えしましょう。
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ノイバラの育て方!種まき・水やり・切り戻し等のコツ
ノイバラはもともと野生のバラですから、とても丈夫。
育て方もとても簡単なのです。
順を追ってご説明しましょう。
①置き場所
日当たりのいい場所を選びます。
一日に午前中最低2〜5時間程度の日が当たる所です。
ただし、ノイバラが野生といえども、西日や真夏の強い直射日光はさすがに苦手。
株元のまわりにピートモス、モミがら等でマルチングすると、いいですね。
水やりによる土跳ねや病気も防げる効果もあります。
梅雨時から真夏の高温多湿も苦手とするので、風通しもいい場所にしてくださいね。
②用土
ノイバラは野生のバラなので土にはこだわりません。
水はけ、水もちがいい用土を選べばいいのです。
堆肥や腐葉土を混ぜた柔らかい土にピートモスを加えたものがベストでしょう。
もちろんバラの専用土でもいいですが、高くつくのでホームセンターで私は買った花の培養土を使っています。
③種まき
秋にノイバラから採取した実を、果皮付きのまま冷蔵庫で保管しておきます。(そのまま取りまきでも可です)
2~3月頃、果実から種だけを取り出してまきます。
種まきの前にまず水に入れ、浮かんでくるような種は未熟ですので捨てましょう。
うまく発芽するまで用土は、ほどよく湿らせた状態を保っておきます。
かわいがり過ぎて、土をベトベトにさせないで下さいね。
④植え付け
春は4月~5月、冬は休眠期に入る11月下旬~2月下旬に植え付けをします。
地植えならあらかじめ堆肥と腐葉土を入れておいて、土壌改良をしておくとなおいいですね。
鉢植えでも地植えでも、植えつける前に根を1時間ほど水につけておくと、根が乾燥しません。
また根を四方に広げて植えのるのもポイントです。
ノイバラは根が片寄ると育ちが悪くなります。
植え付け後は水をたっぷり与えて下さい。
それから、大事なことです。
植え付けたそばにフェンスなど這わせるものがなければ、必ず支柱などを立てて下さい。
以前、世話している公園にノイバラを植えたのですが、つるがあっという間にのびて、歩く人の邪魔になってしまったことがありました。
⑤肥料
ノイバラは12月~2月に元肥を、花後にお礼肥をします。
牛ふんや油粕などの有機質肥料に、2割の化成肥料を混ぜたものがいいですね。
地植えなら、冬は株から20~30cm離した回りに、2ケ所穴を掘って肥料を入れ込むと、上手にできます。
花後は土の表面にパラパラとまく程度で大丈夫です。
量も冬の半分で、あくまでお礼肥ですからね。
鉢植えでも、できるだけ株元から離して肥料を置きましょう。
株に肥料が近いと「肥料焼け」を起こす原因になります。
⑥水やり
地植えについては、基本的には不要ですが……。
さすがに最近の猛暑の中は、地植えといえど雨が何日も降らなければ、水をやらないわけにはいきませんね。
鉢植えについては、9月~6月は土の表面が乾いてきたら与えます。
7月~10月は毎日あげましょう。
その中でも、新芽が出てくる生育期にはたっぷりと、開花期には控えめにあげるのがポイントです。
夏場は日中を避け、朝夕の涼しくなった時間にあげます。
逆に冬場は、気温が高めの日中にあげましょう。
水やりは、葉の上からやらず株元にていねいにあげて下さい。
⑦切り戻し(剪定)
ノイバラの剪定の時期は11月~2月、新芽がつく前までがいいですね。
新芽まで切ってしまうと、花が少なくなってしまいます。
剪定する枝は、次の三か所になります。
・葉が込み入っている部分
風通しが悪くなり虫がつきやすくなるのを避けるためです。
・細い枝や古い枝
枝のリフレッシュです。
・勢いよく株元ら伸びてる新梢(シュート)
剪定前の1/3ほどで切り落とします。
シュートは切り落とした方が、枝の充実にはいいのです。
そうそう、植え付けの時もですが剪定作業の時は、手袋をするのを忘れずに。
軍手ではトゲを通すので、園芸用革手袋ですね。
⑧病害虫
ノイバラは野生のバラなので強いのですが、病害虫には気をつけたいですね。
・チュウレンジバチ
4月~6月や9月~10月にやわらかい新芽に卵を産み付けられ、やがて新芽がしおれて、花も咲かなくなります。
私は他の害虫にも使えるスミチオン乳剤で、駆除しています。
・カミキリムシ
幼虫は年中発生し、1~2年にわたって幹に食入りして、穴から木くずのようなものを出します。
カミキリムシ幼虫用のキンチョールがありますよ。
とにかく卵を見つけたら、すぐに取り除くことです。
ここまでいかがでしたでしょうか?
ノイバラを育てるのは、難しくなさそうだということがお分かりいただけたと思います。
育て方はもうバッチリでしょうから、次は増やし方のことをお話しましょう。
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ノイバラの増やし方!挿し木をする場合のコツやポイント
ノイバラは挿し木で増やせます。
5月~6月が発芽しやすく、挿し木によい時期です。
①挿し木となる差し穂づくり
元気のいい枝を5~7cmほどカットします。
うまく切れていなかったら、ナイフなどで鋭く切り戻します。
葉を三枚ほど残し、下葉は切り取ります。
水に2時間ほどつけて吸水させます。
②挿し床つくり、鉢
挿し床に向く土は、鹿沼土、赤玉土小粒、パーライト、川砂などです。
ちなみに私は鹿沼土を使っています。
鉢は風通しのいい素焼きをすすめます。
挿し木をする前、用土にたっぷりと水をやっておいてください。
③挿し方
いきなり挿すのは避けた方がいいです。
あらかじめ挿す場所を決めておき、割りばしなどで穴をあけておくと上手くいきます。
倒れないぐらいに挿して、周囲を軽く押えるぐらいで。
④挿し木後
日陰または明るい半日陰に置いて、土の表面が乾いてきたら水をあげてください。
条件にもよりますが、ノイバラはだいたい2週間ぐらいで発根して葉も育ってきます。
種まきのところでも言いましたが、かわいがりすぎて、あまり水を上げ過ぎないで下さいね。
さて、基本の育て方や増やし方が分かってきたあたりで、寄せ植えを取り入れるとガーデニングの幅がグッと広がります。
ノイバラにはどんな植物が合うのでしょうか?
続けて、ノイバラの寄せ植えのポイントについて見ていきましょう。
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ノイバラの寄せ植え!コツやポイントは?
ノイバラの開花時期は4~6月なので、いろいろな植物との寄せ植えができます。
以下、比較的入手しやすいものを挙げます。
①パンジー
②ビオラ
③キンギョソウ
④ペチュニア
⑤ジキタリス
⑥カンパニュラ
⑦アイビー
⑧シロタエギク
①②③④は花色が豊富なもの、⑤⑥は背が高いもの、⑦⑧は葉が合わせやすいものを選んでみました。
上に挙げた植物以外でも、日なたを好む植物なら選べます。
あとは色合いとバランスですね。
まず、ポリポットのまま並べて全体のレイアウトを確認します。
今回の主役ノイバラは背が高いので、後方にくる位置に配置します。
それから前方にくる植物を決めます。
ノイバラのつるを絡ませるため、はじめからトレリスを立てておきたいですね。
隙間にもしっかり土も詰めてください。
根が乾かないように素早く作業するのもポイントです。
寄せ植えが終わったらたっぷり水をやって下さいね。
さて、ノイバラは野生のバラだから丈夫だと信じていたけれど、意外や意外、案外、
- 「枯らしてしまった」
- 「花が咲かなくなった」
という経験をされた方が中にはいらっしゃるかもしれません。
最後にそんな経験をされたあなたために、原因と対処法をお伝えします。
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ノイバラが枯れる、花が咲かない!原因と対処法は?
ノイバラが枯れる、花が咲かなくなったなど、経験をされた方。
もう、失敗はしたくないですよね。
まず原因を探って対策もご説明します。
枯れる場合
原因①肥料のやりすぎによる「肥料焼け」が考えられます。
ノイバラはもともと野生に育つバラなので、肥料は少なくていいのです。
対策①12月~2月の元肥、花後のお礼肥にとどめます。
原因②害虫の影響かもしれません。
丈夫なノイバラが枯れるのは、病気より害虫の可能性が高いと思われます。
すでに出てきたチュウレンジバチやバチやカミキリムシの他に、ハダニ類の被害も考えられます。
ハダニ類は梅雨明け後に出てきて、葉の裏に住みつき、あっという間に広がります。
葉の汁を吸われると、葉が白っぽくなってきます。
うちのバラはこれでやられました。
症状が進むとクモの巣を張ったようになります。
対策②見つけたら、ただちにダニ専用の殺虫剤で駆除します。
ダニ類については、普段から葉に水をかけておくのも効果的です。
花が咲かない
原因①日照不足のせいかもしれません。
ノイバラは半日陰でも育ちはしますが、ある程度は日に当たらないと花芽は育ちません。
対策①年間を通して一日に2〜5時間程は日に当たる場所に置きましょう。
しかし、マンションの大規模改修で長期間室内に置かざるをえないことはありますよね。
原因②害虫の影響が考えられます。
対策②「花が枯れる」原因②に同じです。
それでは、ノイバラの育て方等について最後にまとめましょう。
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まとめ
今回は原種のバラ、ノイバラについてご説明しました。
ノイバラは野生のバラで、4月~6月に小さな白い花をいっぱい咲かせます。
日当たりのいいところで育て、肥料は控えめにしましょう。
ノイバラは挿し木で増やせます。
寄せ植えはバランスや色合いを考え、初めからトレリスなどでつるを絡ませておく工夫をしておきましょう。
花が枯れたり咲かないのは、肥料焼け、日照不足、害虫が原因が考えられます。
かわいらしくて奥ゆかしさもあるノイバラが、そばにある生活はいいですよね。
あなたも綺麗で元気なノイバラを育ててみてください。
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