暑い夏の盛りに、花をいっぱいつけた木を見つけました。
紫紅色の花がとても涼しげです。
そう、これがムクゲの花です。
ところでムクゲの花の育て方はご存じでしょうか?
種類がいろいろあるみたいだけど、どうやって育てればいいんだろう?と気になる方もいるでしょう。
今回はムクゲの種類や育て方をはじめ、増やし方のコツ、寄せ植えのポイントなどを大公開します。
どうぞ、最後までお付き合いくださいね。
目次
ムクゲとは?種類や開花時期、特徴について
ムクゲと聞いても、どんな花かピンとこない人もいらっしゃるかもしれませんね。
まずムクゲがどんな花か、ご説明したいと思います。
ムクゲは7~10月、ハイビスカスに似た大輪の花をつけるアオイ科の落葉低木です。
木の花が少なくなる時期に庭に色を添えてくれます。
朝咲いて夕方しぼみ、また翌朝咲くといったのを何日か繰り返します。
当年枝(一年目の枝)の下の方から花が咲いてくるのも特徴です。
そして何といってもムクゲの魅力は多彩な花の色と形。
よく目にするのが、紫紅色の一重咲きのムクゲでしょうか。
一重の白い花に中心が鮮やかな紅色の宗旦ムクゲは、茶花向き。
八重咲のヤエムクゲ、白花で八重のシロバナムクゲ。
ほか、半八重咲きのものや、青みがかった花の色のものもあります。
ムクゲとよく似たものに、ハイビスカスのほかフヨウがあります。
フヨウは花も葉もムクゲより大きめです。
ここまでいかがでしょうか。
花の少ない時期に咲いてくれるムクゲって、ちょっとありがたい存在ですよね。
色も形も豊富だし、「育ててみようかな」と興味が出てきた人もいらっしゃるかと思います。
では早速、ムクゲの育て方のお話しに入りましょう。
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ムクゲの育て方!植え付けや剪定等のポイント
ではムクゲの育て方をはじめ、植え付けや剪定などの説明をしたいと思います。
なお、これから出てくる時期的なことは、お住まいやその時の気象条件によって多少違ってきますので、参考までにということで。
①育てる環境
ムクゲは日当たりのいい場所で育てます。
水辺に自生しているムクゲをよく見かけるので、本来は湿っぽい土を好むと思われます。
実際は土を選ばず育つので、かなり条件がよくない場所でも堆肥をすき込んでおけば大丈夫です。
ただ夏場の直射日光は苦手です。
鉢植えは半日陰に移して、高温になるのを避けます。
二重鉢にするのも断熱効果があります。
二重鉢のやり方ですが、まずムクゲの鉢がすっぽりと入る二回り大きめの素焼きの鉢を用意します。
外側の鉢には鉢底石や軽石を入れます。
この外側の鉢に水をかけるだけで、ムクゲの鉢が高温になるのを抑えることができます。
②植え付け
ムクゲの植え付けは12~3月が適期です。
ただしあまり寒い時期は避けた方がいいでしょう。
店頭にムクゲの苗が並ぶのは初夏になるので、開花株なら植え付けは6~8月になります。
【庭植え】
根鉢より大きめの穴を掘ります。
やせ地なら穴に多めの肥料または堆肥を入れて、少し高めに植え付けるのがいいですね。
植え付けたら株の周りを土手のように盛り土をして、ウォータースぺ―スを作ります。
ウォータースぺ―スを作るのは、水がしっかり株元にいき渡るようにするためです。
支柱を立てて、あとはたっぷりと水やりをします。
【鉢植え】
ムクゲは2m以上になるので、鉢植えにするなら矮性のムクゲを選ぶか、または大きめの鉢に植えます。
根鉢を崩さず、底に土を少し入れて高さをみながら植え付けていきます。
割りばしなどを使って隙間なく土を詰めていきましょう。
元肥として緩効性化成肥料をすき込むのも忘れずに。
緩効性化成肥料は効果がゆっくりで長持ちする肥料です。
鉢底から流れ出るくらいにたっぷりと水をやったら、日当たりのいい場所に置きます。
③用土
ムクゲはやせ地でも育つほどなので、土を選びません。
鉢植えで使う土は、赤玉土小粒と腐葉土をブレンドしたもの。
市販の草花用培養土でも十分です。
④肥料
ムクゲは次々に花を咲かせ体力を使うので、施肥は欠かせません。
まず12~2月にかけての寒肥。
冬の間に力を養っておくイメージでしょうか。
庭植えの場合、株の周りに溝を掘って、その中に油粕や緩効性化成肥料を施します。
鉢植えも同じく油粕や緩効性化成肥料を、株から離して施します。
次は6~9月の追肥です。
庭植えも鉢植えも2ヶ月に1度の割合で、緩効性化成肥料を与えます。
鉢植えなら液肥でも大丈夫です。
次々と花を咲かせるムクゲはとにかく体力を使っています。
ですから開花中は肥料切れに注意です。
肥料が切れると生育が滞り、花つきも悪くなります。
⑤水やり
ムクゲの鉢植えは鉢土の表面が乾いて白っぽくなったら、鉢底から流れるくらいにたっぷりと水やりします。
特に、3~10月の生育期開花期は水切れしないように気を付けます。
庭植えは植え付け時の水やりだけで、長く雨が降らない時を除き基本的には不要です。
ただ植え付け後、根付くまでの間にしおれてきたら水をやって下さい。
⑥剪定(切り戻し)
ムクゲは放任でも樹形は乱れませんが、大きくなりすぎてしまいます。
よく枝分かれして花をつけるので、風通しも悪くなります。
やはり剪定は毎年やって、ある程度の大きさを維持した方がいいでしょう。
風通しをよくすることで病害虫の予防にもなります。
ムクゲの剪定は、基本的に落葉する12~2月に行います。
冬は花芽がついてないので、思い切って剪定できます。
その年に伸びた当年枝を、株元から10cmほど残して切り落とします。
2~3節残っていれば大丈夫です。
株元近くから出ている小枝や、ひこばえ(株元から出てくる若い芽)も早めにカットしておきましょう。
当年枝だけでなく、3~4年ほど経っている枝も高くなり過ぎていたなら、切りつめても構いません。
剪定のほか、花がら摘みもやっておきたい作業です。
とくかくムクゲは次々と花を咲かせるので、花がらもたくさん出ます。
庭植えは難しいかもしれませんが、鉢植えは花がら摘みをして見た目から整えたいところですね。
⑦病害虫
ムクゲによくみられる病害は褐斑病です。
葉に淡褐色の斑点が広がっていき、やがて下葉から枯れていく病気です。
またムクゲにつきやすい病害虫はアブラムシやカイガラムシなどです。
アブラムシは繁殖力旺盛で、気が付いたら新芽にびっしりついています。
カイガラムシは夏に発生しやすく、枝にも葉にもつきます。
ともに植物の汁を吸って害する虫です。
病害虫は見つけ次第、被害が拡大しないよう、ただちに殺菌や殺虫剤を散布します。
また予防で定期的に株を殺菌したり、剪定をして込んだ枝を間引きしておくのがいいでしょう。
ムクゲの育て方のご説明まで終わりました。
丈夫で育てやすそうでしょう?
剪定もとても簡単でしてたよね。
では一歩進んで、次からはムクゲの増やし方の説明に入りたいと思います。
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ムクゲの増やし方!挿し木や種取りのポイントは?
ここからはムクゲの増やし方を見ていきます。
ムクゲは挿し木でも種でも増やせるので、それぞれご説明しましょう。
【挿し木で増やす】
ムクゲは春、夏、秋とほぼ1年中挿し木できます。
ムクゲの春挿し(休眠枝挿し)は、2月下旬から3月中旬が適期です。
①前年に伸びた枝から10~15cmの長さの枝を用意します。
3節ほど残ってれば大丈夫です。
枝先はナイフなどで斜めに鋭くカットしておきます。
②5~6号鉢に赤玉土小粒や川砂を入れて、それに挿します。
③発根するまで水やりを忘れずにして下さい。
梅雨の頃に3号鉢に鉢上げ出来ます。
夏が終わるころにはもう花が見られますよ。
ムクゲの夏挿し(緑枝挿し)は、開花中の挿し木のことです。
①10~15cmの長さの枝を用意します
下の葉はカット、上の葉を2~3枚残しておきます。
②5~6号鉢に入れた川砂やパーライトなどを湿らせておき、それに挿します。
たっぷりと水をやってから、鉢全体をビニール袋で覆いヒモで結びます。
明るい日陰において下さい。
③3~4日ごとに水やりをすれば1ヶ月ほどで発根します。
発根してきたらビニール袋に穴を開けて、少しづつ外気に慣れさせていきます。
袋から完全に出したら、しばらく明るい日陰で管理します。
鉢上げは、遅くとも9月には終わらせましょう。
ムクゲの秋挿しは、落葉した後11~12月が適期になります。
秋挿しがいちばん簡単なやり方です。
30cmほどの長さにカットした当年枝を、直接庭に挿すだけです。
あとは水やりもいりません。
翌年には根が出てきて枝が伸び花が咲きます。
【種で増やす】
ムクゲは種で増やせます。
種取りのこともあわせて説明していきます。
①ムクゲの種を取るのは8~9月になります。
熟するとさやが5つに割れて、中から5mmほどの種が顔を出します。
10月頃になると種がこぼれ出てしまいます。
早めに採取して乾かし、紙封筒などで保管しておきます。
②翌年の春、種まき用の土などにまくと、1ヶ月ほどで発芽してきます。
庭に直まきでも発芽します。
③5~10cmになった頃に庭などに移植します。
うまくいけば、次の年に花がみられるかもしれません。
以上、ムクゲの種での増やし方をご説明しました。
ただ種で増やす前に知っておきたいのは、親株と同じ花がつかないかもということです。
ムクゲは他家受粉(他の個体で受粉)という性質から、姿を変えながら世代をつないでいっている植物です。
裏を返せば、あなただけのオリジナルのムクゲを咲かせることができるかもなのです。
是非、種でも増やすのもやってみて下さいね。
ここまでいかがでしたでしょうか?
ムクゲの育て方も増やし方もわかったとなると、次にくるのは……。
そう、まだ寄せ植えのことに触れていませんでした。
次からは、ムクゲの寄せ植えについてお話していきます。
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ムクゲの寄せ植えのコツとポイントは?
ここからは、お待ちかねのムクゲ寄せ植えです。
寄せ植えのコツなども含めて話を進めていきたいと思います。
ムクゲは育つと高さが2~4mになります。
寄せ植えとなると鉢植えになるでしょうから、向くのは矮性のムクゲです。
中には庭に寄せ植えしてみようかな、と考えている人もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、鉢植えと庭植えに合わせられる植物を合わせて取り上げます。
さあ、どんな植物と合うのでしょうか?
【鉢植え向き】
①ハイビスカス
②ペチュニア
➂シロタエギク
④メランポジウム
⑤トルコキキョウ
⑥ブルーサルビア
⑦アイビー
【庭植え向き】
⑧宿根ガザニア
⑨アガパンサス
⑩モミジアオイ
ほんの1例ですが、ムクゲと合う植物を挙げてみました。
①ハイビスカスはムクゲの仲間なので同じ育て方ができます。
寄せ植えには矮性のハイビスカスがいいでしょう。
②ペチュニアは値段も手頃で、色もカラフルで花期も長く合わせやすいです。
➂シロタエギクはシルバーリーフだけでも使いやすい植物です。
④メランポジウムはとても丈夫で、初夏から秋にかけて黄色い小花を咲かせます。
⑤トルコキキョウは一本の茎からでも、長い期間にわたり涼しげな色の花が楽しめます。
⑥ブルーサルビアも日当たりを好み、初夏から秋口まで咲く丈夫な花です。
⑦おなじみのアイビーは、ほふくする性質がどんな植物とも合います。
⑧宿根ガザニアは黄色や白い花が日中咲いて夜は閉じる性質を持ちます。
宿根という名の通り、冬越しするガザニアです。
⑨アガパンサスは初夏に薄紫色の花を咲かせるユリ科の大型の植物です。
ムクゲと色の系統が似ているので遠くから見ても、とてもマッチします。
⑩モミジアオイはムクゲと同じアオイ科で、育てる条件は同じです。
2mほどになり、ムクゲにはない赤い色の花がつきます。
ムクゲの寄せ植えをはじめるにあたり、相手の植物選びということになりますよね。
入手しやすいのを選びたいのはもちろんですが、何よりもムクゲと似たような性質を持つ植物を選ぶということでしょう。
つまり、日当たりが好きで、水を欲しがり(鉢植えの場合)、加えて長く楽しむため、できたらムクゲと同じ花期を持つ植物を選びたいですね。
植え付け前は、ポリポットなどのまま仮置きして全体のバランスを見ます。
⑦のアイビーは垂れ下がる性質なので鉢の縁に植えるといいですね。
いざ植え付けていくときは、隙間ができないように割りばしなどでしっかり土を入れ込みます。
あとは鉢底から流れるくらいにたっぷりと水をあげて完成です。
寄せ植え後しばらくは、明るい日陰で管理して落ち着かせます。
好きな季節の植物と組み合わせて、あなただけのムクゲの寄せ植えを楽しんで下さいね。
ここまで、ムクゲの育て方から寄せ植えまでお話してきました。
これでもうムクゲのことは「どこから聞かれても完璧です」と言いたいところでしょうが……。
一生懸命愛情を持って育てていても、時には上手くいかないこともあるもの。
最後は、ムクゲを育てていくうえでのトラブルとその対処法をお伝えします。
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ムクゲが咲かない、枯れるなどの原因と対処法
ここではムクゲの花が咲かない、枯れるといったよくあるトラブルに着目し、原因と対策を取り上げます。
【花が咲かない】
原因①肥料が足りないのかもしれません。
対策①ムクゲは開花中は次々と花を咲かせ体力を使います。
肥料が足りないと生育に影響が出て、花もつかなくなります。
肥料は規定量を忘れずしっかりやってください。
なお即効性のあるのは液体肥料の方です。
原因②剪定時に花芽を切ってしまったのかもしれません。
対策②剪定を落葉期の12~2月にするのは、花芽を切る心配がないからです。
剪定の時期を間違えないようにして下さい。
【枯れる】
原因①テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)の被害かもしれません。
対策②テッポウムシは幹の中に入り込んで食害して枯らします。
被害にあっていたら、株元に木くずや虫糞が落ちています。
見つけ次第、テッポウムシがあけた穴に薬剤を注入し、園芸用パテや粘土で穴を塞ぎます。
それでは、ムクゲの育て方等について最後にまとめましょう。
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まとめ
今回はムクゲについてのご紹介でした。
それではおさらいです。
- ムクゲは花が少ない時期に庭に色を添えてくれる花です。
- 日なたで育て、水切れや肥料切れに気をつけます。
- ムクゲは挿し木または種で増やせます。
- 寄せ植えでは矮性のムクゲを選び、育てる条件が似た植物と合わせます。
- 枯れるのはテッポウムシの被害が考えられます。
夏の暑さにも負けず長く咲いてくれるムクゲです。
大事に育ててあげたいですね。
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