フロックスというお花をご存じでしょうか?
聞きなれない名前かもしれませんが、カラフルなお花が美しく、種類も豊富でとても育てやすいお花なんです。
魅力いっぱいのフロックス、種類や特徴を知って、自分で育ててみませんか?
今回はフロックスの種類と育て方、増やし方などについて詳しくご紹介していきます。
また、フロックスを寄せ植えで楽しんでみたい、という方に向けて、寄せ植えにするときのコツやポイントについてもお話していきますので、ぜひご覧くださいね。
目次
フロックスとは?種類や花が咲く時期は?
フロックスはどんなお花なのでしょうか?
フロックスはハナシノブ科クサキョウチクトウ属(フロックス属)のお花全般を指し、約67種ある多年草、もしくは一年草です。
このフロックス属の中には、春のグランドカバーとしておなじみの、シバザクラも含まれていますよ。
この他にも、花色や花の形が豊富なキキョウナデシコや、丈夫で育てやすく、大きな草丈になるクサキョウチクトウ、匍匐して伸びる枝葉とすっと伸びて咲くお花が対照的なツルハナシノブなどが、代表的な種類です。
この代表的な4種類について、特徴をご紹介しましょう。
【クサキョウチクトウ】
- 草丈:60~120cm
- 開花期:6~9月
- 花色:ピンク 赤 白 紫 など
- 分類:多年草
- 耐寒性:強い
- 耐暑性:やや弱い
- 代表的な園芸品種:ブルーパラダイス クレオパトラ ウィンザー
【キキョウナデシコ】
- 草丈:15~45cm
- 開花期:5~7月
- 花色:ピンク 赤 白 紫 黄 など
- 分類:一年草
- 耐寒性:やや弱い
- 耐暑性:弱い
- 代表的な園芸品種:チェリーキャラメル ポップスター シュガースター
【ツルハナシノブ】
- 草丈:15~25cm
- 開花期:5~6月
- 花色:ピンク 白 紫 など
- 分類:多年草
- 耐寒性:強い
- 耐暑性:やや弱い
- 代表的な園芸品種:シアウッドパープル
【シバザクラ】
- 草丈:10~15cm
- 開花期:4~5月
- 花色:ピンク 赤 白 紫 など
- 分類:多年草
- 耐寒性:強い
- 耐暑性:やや弱い
- 代表的な園芸品種:アメージンググレース ホワイトモンブラン スカーレットフレーム
種類によってお花が咲く時期や大きさ、性質もさまざまなフロックス。
植える場所やお好みに応じて選べるて、とても育てやすいお花なんです。
そこで次は、フロックスの育て方について、詳しくご紹介していきます。
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フロックスの育て方!水やりや切り戻しなどのコツは?
フロックスは種類によって性質が異なりますので、育てる時には注意が必要です。
栽培環境など、種類別にポイントをご紹介していきますので、チェックしてみてくださいね。
それではフロックスの育て方について、項目別にみていきましょう。
【栽培環境】
- クサキョウチクトウ・・日なた~半日陰
- ツルハナシノブ・・・・日陰
- キキョウナデシコ・・・日なた
- シバザクラ・・・・・・日なた
を好みます。
また、クサキョウチクトウとキキョウナデシコは肥沃で水はけがいい所を好みますが、ツルハナシノブは湿った所、シバザクラは加湿にならない所を好みます。
シバザクラは、ロックガーデンや斜面など、水はけがいい所に植えるといいですよ。
フロックスは全体的に耐寒性があります。
ただ、キキョウナデシコだけは少し寒さに弱いので、寒い地域で育てる場合は、鉢植えなどにして、冬は日当たりがよく霜に当たらない南側の軒下などに移動させるといいです。
【植え付け】
3~5月、ちょうど苗が店頭に並んでいる時期に、【栽培環境】でお話ししたような場所に植え付けます。
植え付け後はしっかりと水を与え、1~2週間は極度に乾かさないよう、注意してくださいね。
【用土】
全般的に、水はけと水持ちが良い土を好みます。
鉢植えにするときは、赤玉中粒:腐葉土:酸度調整済みピートモス=5:3:2で混ぜた土を使ってください。
シバザクラは特に水はけがよいところを好みますので、鉢底石をいれ、通気性を良くすると、さらにいいですよ。
庭植えにするときは、よく腐葉土をすきこんでおきましょう。
鉢植えと同様に、シバザクラは水はけが大事なので、粘土質が気になる時は川砂などを混ぜてもいいですよ。
【水やり】
鉢植えの場合、土の表面が乾いたらたっぷりと与えてください。
ただし、シバザクラは加湿を嫌いますので、少し乾燥気味でもOKです。
庭植えの場合、ツルハナシノブは湿り気があるところを好むので、特に真夏などは土の表面が乾いたら、しっかり水をあげてください。
その他の種類は、雨にお任せして大丈夫です。
【肥料】
鉢植えにするときは、元肥としてリン酸分を多く含む緩効性肥料を植え付け時に与えておいてください。
その後、3~6月の生育期と9~10月の休眠期は緩効性の化成肥料を規定量与えます。
特にキキョウナデシコは多肥を好みますので、生育中は定期的に肥料をあげると、花付きが良くなり元気に育ちますよ。
庭植えの場合は、特に肥料は必要ありません。
【剪定】
花が咲き終わってくる梅雨時に、一度切り戻しの剪定をしましょう。
伸びている茎を全体的に、1/2~1/3の長さに切り詰めます。
私は部分的に根元から剪定し、透かして風通しをよくするようにしています。
透かしたり全体を小さくすることで、蒸れるのを防ぎ、夏の暑さにも耐えやすくなりますよ。
特にクサキョウチクトウはこの時期に剪定すると、新しい芽が伸びて、もう一度お花が楽しめるので、おすすめです。
【病害虫】
4~6月、9~10月に、肥料不足や日当たり、風通しが悪いと、白い粉をかけたような「うどん粉病」にかかることがあります。
剪定をして風通しをよくし、内部まで日が当たるようにすることで予防できますよ。
また、梅雨時や秋の長雨の時期には、茎や葉、花に灰褐色のカビが生える「灰色カビ病」に注意が必要です。
こちらも風通しを良くすることで予防できますが、一度発生すると被害が広がりやすいので、見つけ次第、病変部を除去してくださいね。
春先はアブラムシにも注意が必要です。
新芽やつぼみなど、柔らかい部分を好みますので、よく観察して見つけ次第、除去するか薬剤散布をしてください。
また、梅雨時のナメクジの食害や、白いふわふわとした綿のような外見をしたアオバハゴロモによる吸汁被害がでることがあります。
こちらも早期発見、早期退治が一番効果的なので、見つけ次第、除去したり殺虫剤を散布したりしてくださいね。
さて、ここまでフロックスの育て方についてお話してきましたが、大切に育てたフロックスを増やすにはどうしたらいいのでしょうか?
次はフロックスの増やし方について、お話していきます。
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フロックスの増やし方!株分けや挿し木などのポイントは?
フロックスは種類によって、さまざまな方法で増やすことができます。
まずは、株分けからお話していきましょう。
クサキョウチクトウとツルハナシノブは株分けで増やすことができます。
特にクサキョウチクトウは、植えて2,3年を過ぎてくると大きな株になり、だんだんと混みあって窮屈になってくるので、植え替えも兼ねて株分けをするといいですよ。
クサキョウチクトウは3~4月に掘り上げ、根についた土をよく落としてから株分けします。
古い根は取り除き、株を2,3個に分けて植えなおしたら完成です。
株分けをしたときには根を切っているので水を吸いにくくなっています。
植え付け時と同様、1,2週間はよく様子を見てお水をあげてくださいね。
ツルハナシノブは5~6月に株分けをします。
方法はクサキョウチクトウと同じですが、株分けの前に一度、切り戻しの剪定をしておくと、根がつきやすくなりますよ。
また、ツルハナシノブは挿し木でも増やすことができます。
時期は株分けと同じ5~6月で、元気な茎を選んで5~7cmに切り、一時間ほど水につけて水揚げしておきます。
ちょうど5~6月は開花期にあたるので、お花やつぼみがついていない茎を選ぶようにしてくださいね。
挿し木用の清潔な土に挿して、明るい日陰で乾かさないように管理します。
2週間程度で発根しますので、苗がしっかりしてきたら【植え付け】と同じように定植してくださいね。
シバザクラも同じ方法で増やすことができますよ。
また、キキョウナデシコは種で増やすことができます。
3~4月または9~10月に清潔な種まき用土に種をまき、薄く覆土をして乾かさないように管理します。
発芽温度が15~20℃なので、わたしはサクラは散った頃を目安にしています。
1,2週間で発芽しますので、本葉が4,5枚になったところで仮植えし、苗が10cmくらいに生長したら定植してくださいね。
クサキョウチクトウはもう一つ、「根伏せ」という方法で増やすこともできます。
これは株分けの際など、クサキョウチクトウを掘り上げた時に、元気な根を選んで7~12cmほどに切り、横にして土に中に埋めておく方法です。
乾かさないよう、明るい日陰で管理していると、10日前後で発芽しますよ。
さて、いろいろな方法で増やせるフロックスですが、今度は寄せ植えにして他のお花との組み合わせを楽しんでみませんか?
次はフロックスを寄せ植えにするときの、コツやポイントについてまとめてご紹介していきます。
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フロックスの寄せ植え!コツやポイントは?
これまでお話してきたように、フロックスには色々な種類があり、それぞれ性質が異なります。
大きく育つクサキョウチクトウや地表を覆うように広がるツルハナシノブやシバザクラよりも、比較的コンパクトでまとまった株姿のキキョウナデシコが、鉢植えで寄せ植えする場合には向いています。
キキョウナデシコは初夏に花を咲かせ、日当たりと水はけがよいところを好む性質があります。
そのため、寄せ植えで組み合わせるお花も、似たような性質のものを選びましょう。
ペチュニアやルリマツリ、ペンタスやアメリカンブルーなどは、花期や性質が似ているので相性抜群です。
ただ、これらのお花だけと組み合わせると、足元が寂しくなりがち。
なので、アイビーやハツユキカズラ、グレコマなどの地表面を彩る葉物と組み合わせるとバランスがとりやすいですよ。
また、キキョウナデシコは花付きがよく、全体的に丸みを帯びた株姿です。
ラベンダーやブルーサルビアなど、すっと伸びて縦のラインを出してくれるお花と寄せ植えすると、全体に動きが出て見栄えがする寄せ植えになります。
クサキョウチクトウやシバザクラを寄せ植えで楽しみたい場合は、鉢植えではなく花壇などの広いところでするのがおすすめです。
クサキョウチクトウは背が高くなるので、花壇の背景になるようなところに植えましょう。
クサキョウチクトウはキキョウナデシコと草丈以外の性質は似ているので、キキョウナデシコと相性がいいお花と組み合わせるといいですよ。
シバザクラはどんどん広がりますので、あまり寄せ植えには向いていません。
草が生えてほしくないところや、大きな木の根元などにグランドカバーとして植えるのがおすすめです。
また、ツルハナシノブも湿ったところを好むという性質上、他のお花との組み合わせが少し難しいです。
日陰に強いお花なので、北側の庭や大木の陰になるところなど、他のお花が育ちにくいところをツルハナシノブで彩りを添えると素敵ですよ。
ところで、寄せ植えに限らず、お花を育てていて気になるのが、花が咲かないことですよね。
フロックスは比較的育てやすいお花ですが、花が咲かない、枯れてしまうなどのトラブルになることはあるのでしょうか?
次はフロックスの花が咲かない時や、枯れてしまう時の原因と対処法についてお伝えしていきます。
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フロックスの花が咲かない!枯れる原因と対処法は?
大切に育てているフロックスのお花が咲かないと、悲しくなりますよね。
フロックスのお花が咲かない原因で一番多いのが、肥料不足です。
育て方の【肥料】でお話したように、花付きが良く、花期が長いフロックスはどの種類も比較的、多肥を好みます。
特に、キキョウナデシコは生育中に肥料切れを起こすと、花付きが極端に悪くなりますのでご注意ください。
また、これは枯れる原因でもあるのですが、多湿状態が続くと、ツルハナシノブ以外は蒸れて弱ってしまい、花付きが悪くなることがあります。
ですので、水やりの頻度に注意して、剪定をして風通しをよくするなど、予防に努めてくださいね。
フロックスが枯れる原因は、今お話した蒸れによるものもありますが、他にも鉢植えにして植えっぱなしにしているというケースがあります。
鉢の中で根詰まりを起こして葉が枯れてくるわけですね。
クサキョウチクトウなどは特に大きくなる品種です。
なので、定期的に掘り起こして株分けするなどし、サイズの調整と根の整理をしてくださいね。
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まとめ
今回はフロックスの種類と育て方、増やし方や寄せ植えのコツなどについてお伝えしました。
フロックスはハナシノブ科クサキョウチクトウ属のお花の総称で、クサキョウチクトウ、キキョウナデシコ、ツルハナシノブ、シバザクラなどがその仲間です。
種類によって性質が異なり、クサキョウチクトウは日なた~半日陰、ツルハナシノブは日陰、キキョウナデシコとシバザクラは日なたを好みます。
3~5月に水はけと水持ちが良い土に植え、生育中は定期的に施肥を行い、開花後は切り詰め剪定をして株姿を整えます。
フロックスは株分けや挿し芽、種まき、根伏せで増やすことができます。
寄せ植えは、ペチュニアやペンタス、ルリマツリなどと好相性です。
フロックスは肥料不足で花が咲かなかったり蒸れで枯れることがあるのでご注意を。
種類も豊富でさまざまな性質を持つフロックス、お好みのお花をみつけて、ぴったりの場所に植えて楽しんでみてください。
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