3月ごろ、山野草のお店をのぞいたら、こじんまりとしている可憐な花を見つけました。
狭いスペースでも育てられそうです。
よく見てみると……、
白やピンクがあって、緑もあって、一重だけでなく、二段、三段に咲いているものがあって、似てるようで違う花がたくさん。
いったい何の花でしょうか?
そう、これがユキワリソウなのです。
ところでユキワリソウの育て方はご存じでしょうか?
育て方だけでなく、増やし方や寄せ植えのことも知りたいですよね?
今回はユキワリソウが気になっているあなたに、ユキワリソウの育て方、増やし方や寄せ植えのコツなどを、大公開します。
目次
ユキワリソウとは?種類や開花時期は?
今回取り上げるユキワリソウはキンポウゲ科に分類されますが、「ユキワリソウ」と呼ばれるものは園芸界にたくさんあります。
ここでは以下、オオミスミソウに分類されるユキワリソウをみてみます。
ユキワリソウ(雪割草)Hepatica nobilisは、北国に春を告げる花です。
江戸時代からすでに栽培されていたようですね。
今は全国的に栽培されているので、雪の多い寒冷地では雪が溶ける4月半ばから5月初めに、それ以外の地域では2月から3月半ばに花が咲きます。
どれも小さな花をつけ、可憐な姿をしています。
ただあまりにもたくさんの花色に、花の変異の多さも加わって、ユキワリソウって一口にどんな花か表せない花なのです。
花の変異とは、花びらと雄しべ雌しべの特徴がいろいろあるということですね。
その特徴で咲き方がグループ分けされています。(そのグループ分けも細かいので、そこまではお話しませんが)
ですが、そもそもユキワリソウは自生していた植物です。
自然の状態で多様な姿に変異していったとは、何とも不思議な花ではありませんか。
普通は、自然の中だと原種の姿に戻ったりするものだと思いますが。
さて、ここまで見ただけで、もうユキワリソウの魅力にはまりそうでしょう?
魅力にはまったなら、当然、育ててみたくなるかと。
早速、みてみましょう。
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ユキワリソウの育て方!植え付けや切り戻し等のコツ
ユキワリソウは、自生していた植物ですから、育て方は簡単です。
順を追って説明していきましょう。
以下、時期は地域によって多少違ってくるので、大体の目安にして下さいね。
①育てる場所
ユキワリソウの自生地は落葉樹の下、春は日が差し込み、夏は落葉樹の陰になって暑さをしのげる所です。
落ち葉の下で適度に湿り気も保たれ、冬の冷たさからも守られます。
植えるなら、こういった場所を選ぶといいですね。
【開花中】南側の日当たりのよい所に置きます。
【花後】新しい葉が出てくるので、風通しのよい場所に置いて、引き続きしっかりと日に当てます。
葉焼けにも注意が必要で、遮光ネットを使うか、午前中だけ日のあたる場所に置いて、直射日光を避けましょう。
【梅雨明け以降】長い雨に慣れてたせいで、梅雨明けのちょっとした日差しで葉焼けを起こしやすくなります。
遮光ネットを重ねて使ったりして、強い日差しを避ける工夫をして下さい。
ヨシヅを立てかけたりするのも、温度の上昇を抑さえられます。
私はベランダに傘を固定させて、日よけにしていました。
【秋】少しずつ日に慣らしていきます。
だいぶ秋も深まってきたら、直射日光に当たっても大丈夫です。
ユキワリソウの紅葉を楽しみたいなら、直射日光に当てるです。
【冬】乾燥を伴うからっ風は、ユキワリソウは苦手です。
寒さにもある程度は強いですが、さすがに凍るような厳しい寒さには耐えられません。
花芽がダメになったり、根腐れして枯れてしまうことがあります。
寒さ除けとして、寒冷紗や不織布で囲ったり、発砲スチロールの容器に入れたりします。
落ち葉をそのまま被せても大丈夫(自生だとそうですよね)。
真冬は、日に当たらなくても構いませんよ。
②植え付け
ユキワリソウの株は、早い所では2月頃から園芸店に並んできます。
ポリポットに入ったままにしておいて、9~10月頃に植え付けをします。
寒い地方は早めがいいでしょう。
植え替えた株を使う場合も同じですね。
花後にも植え付けはできますが、新しい葉がでてくる時期なので、しっかり葉が固まってからします。
植え付け作業は根を乾かさないように、素早く行います。
根付くまでしばらく、風通しのよい日陰で管理しましょう。
9月~11月末頃まで、1000倍に薄めた液体肥料を週1の割合で与えます。
庭植えの場合は、あらかじめ70cmほどの穴を掘っておきます。
底に小石を敷き、腐葉土や山砂などを混ぜておくと、水はけ保水性のいい土ができます。
できたら根くずなども取り除いて、ていねいな土づくりをしておきたいですね。
③用土
ユキワリソウは自生しているくらいなので、基本、土を選びません…と言われて、迷う人もいるかもですね。
はじめての人には、鹿沼土と赤玉土をブレンドしたものをおすすます。
鹿沼土は水はけをよくし、赤玉土には保水性があるので、大丈夫です。
庭植えの土については、「②植え付け」のところを参考にして下さいね。
④肥料
まず肥料については、ユキワリソウを大きく育てようとして、やり過ぎに注意します。
【開花中】与えません。
【花後~梅雨入り】1000倍に薄めた液体肥料を週1回の割合で与えるか、油粕などの置肥をします。
置肥の場合は、鉢の大きさにもよりますが2、3個ぐらいですね。
油粕だと1か月に1度ぐらいでいいかと思います。
くれぐれも、株元に近づけないように置きます。
【梅雨入り後~9月半ば】与えません。
【9月半ば~10月】1000倍に薄めた液体肥料または置肥を施します。
回数は【花後~梅雨入り】の半分でいいかと思います。
これで肥料をあげるのは終わりです。
⑤水やり
ユキワリソウの水やりの原則は、土の表面が乾いてきたらになります。
【開花中~梅雨入り】たっぷりと水をやります。
【梅雨の間】病気が発生しやすい時期なので、できるだけ雨がかからないようにします。
戸建のお宅で、木枠を組んで透明のビニールシートを張って屋根代わりにし、雨除けをされていたのを見たことがあります。(ビニールシートを張りめぐらせれば、冬場は温室にも出来るので、これはとてもいいと思いました)
湿気の多い時期なので、鉢も乾燥気味に管理します。
乾いた鉢にだけ、水をやって下さい。
【7月~9月】表面が乾いたらたっぷりと水やりします。
朝夕の涼しい時間に1日1回あげれば、十分です。
高温なのでユキワリソウはいくらでも水を欲しがりますが、それで鉢内が蒸れて病気の発生につながるからです。
葉水をかけるのもいいですね。
【10月~11月】気候は乾燥中、根は育つ時期です。
たっぷりめの水やりをします。
【12月~2月】土の表面が乾いてきたら水やりと、控えめにします。
⑥剪定(切り戻し)
ありません。ただ花がら摘み、枯れた葉を取る作業は必要です。
⑦病害虫
野生の状態で生き続けてきたユキワリソウとはいえ、病害虫の心配は当然あります。
【灰色かび病】
温度が低めで多湿の時に発生します。
まず花弁や花がらにかびがつき、それが葉や鉢の上に落ちて、病気が広がるのです。
とても繁殖力が強く、株全体が腐ってしまうこともあります。
薬剤の使用も可能ですが、やはり風通しをしておくとか、花がら摘みをまめにしておくことが、予防ですね。
【センチュウ(線虫)】
字を見ただけで、想像がつく虫ですよね。
センチュウはユキワリソウの大敵です。
暖かくなる春先ぐらいから発生しやすくなります。
センチュウがつくと根に小さなコブがつきます。(おそらく植え替え時に気づいたりするかと)
被害が進むと、根が腐ったり葉が枯れたりしてきます。
被害部のコブの部分を切り捨て、株の根元を濡らして線虫殺虫剤をつければ、まだその株は使えます。
その時は、新しい土と鉢に植え替えて下さいね。
予防としては、土を使いまわさないとか、植え付け前に土壌を殺菌しておくとかになるかとかと。
水やり時に殺菌剤を混ぜる方法もあるようですよ。
いかがでしたでしょうか。
ここまでで、ユキワリソウにかなり詳しくなったのではないでしょうか。
育てるのがわかったら、次は増やし方ですね、一緒に見ていきましょう。
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ユキワリソウの増やし方!株分けのコツや注意点は?
ユキワリソウの増やし方には、主に株分け、根茎伏せ、種まきの3つの方法があります。
それぞれご説明しましょう。
・株分け
(1)9月が適期ですが、遅くとも10月までには済ませましょう。
(2)植え付け後、2~3年たった株を使います。
鉢から引き抜いたところで、根鉢を割りばしなどで丁寧にほぐします。
はしを差し込むなどして、いくつかの株に分けます。
その際、センチュウがついていた根はカット、防除を行います。(センチュウは「植え付け⑦病害虫」を見て下さいね)
(3)鉢底にゴロ土を敷き、まず硬質鹿沼土と赤玉土の混合したものを少し入れます。
それから株を入れ、少しづつ土を足していくとうまくできます。
割りばしで隙間をつついて、しっかりと植え込みます。
根が乾かないように、素早く作業しましょう。
(4)たっぷりと水をあげて完成です。
1000倍に薄めた液体肥料を、週1回の割合で与えてください。
・根茎伏せ
大株などには、根の上に水平に太い根茎が伸びています。
これを利用するのが根茎伏せです。
根茎伏せの作業時期は株分けに同じです。
長い根茎を2~3cmほどに切って、根茎が隠れる程度に埋めておきます。
すると芽がでてきます。
土の代わりに水ゴケを使っても発芽します。
・種まき
種とりから種まきまで、だいたい3月~5月までの作業になります。
ユキワリソウの種はこんぺいとうの形をしています。
こぼれ種からも発芽するほどなので、発芽率はいいと思います。
(1)花が終わり種を採った後、そのまま撒きます。
種を採るタイミングは、熟して自然に落ちるのを待つです。
早まって、無理に採らないで下さいね。
もう少しで落ちそうになっていたら、種が飛び散らないように下にトレイなど置いて下さい。
もし完熟してなければ、土の上に1週間ほど置いてから、撒きましょう。
(2)まき床もいろいろ考えられますが、小粒の赤玉土とバーミキュライトをブレンドしたものがいいですよ。
浅い素焼きの鉢に入れて、あらかじめ湿らせておきます。
(3)まき床に種を均等にばら撒きます。
覆土は軽くするか、しないかです。
覆土をしなくても、ちゃんと発芽しますよ。
いずれにせよ、発芽まで8ヶ月以上はかかります。
(4)明るい日陰に置いて、発芽まで用土は湿った状態を保ちます。
発芽したら、1000倍に薄めた液体肥料を与えます。
双葉が出てきたら、1ヶ月後に植え替え。
その後も毎秋に植え替えます。
開花するまで、3年はみておいてください。
今「ユキワリソウは種まきから開花するで3年!」と聞いて、気が遠くなっていませんか?
そんな方に、種まきが楽しくなるような話しをしましょう。
ユキワリソウって簡単にオリジナルの花が作れるのですよ。
あなたが気に入ってるユキワリソウ同士を交配させればいいのです。
開花中の雄しべの花粉を綿棒や筆につけ雌しべの先につけるか、雄しべを切り取り雌しべにこすりつけるやり方です。
うまく結実すれば、あなただけのユキワリソウが見られます。
3年待つのも楽しみになりますね。
さらに楽しみは続いて、次からは、お待ちかねのユキワリソウの寄せ植えについて、ご紹介します。
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ユキワリソウの寄せ植えのコツとポイントは?
ユキワリソウは花だけでなく葉にも、いろいろな姿があります。
しかも常緑なので、花が終わっても寄せ植えに使える優れものです。
開花中でも、花がない時でも、ユキワリソウに合う植物を挙げてみました。
①フクジュソウ
②ヤブコウジ
③ハボタン
④アオキ
⑤イワヒバ
⑥カリヤス
⑦チヂミザサ
ほか、マツ科、ブナ科の植物
と、草木がメインの落ち着いた和のテイストになりそうですね。
ユキワリソウの寄せ植えを長く持たせたいなら、相性のいい植物を選ぶことです。
コンパニオンプランツ(共栄植物)といえばわかりやすいですね。
いっしょに植えることで、互いにいい作用をもたらすというものです。
イワヒバなどのシダ類、カリヤスやチヂミザサなどのイネ科、マツ科やブナ科の植物はとてもユキワリソウと相性がいいのです。
植える時は、まずメインの植物を決め、全体のバランスを考えてから植え付けていきます。
少しづつ土を足していって、隙間までぎっしり埋めていきます。
水をたっぷりあげてくださいね。
もし、短い間だけ、室内でユキワリソウの寄せ植えを楽しみたいなら、水ゴケに植え付けたりもできます。
ちょっとの間だし、鉢でなくグラスやカップにいれても楽しむこともできますよ。
是非、お気に入りの容器でユキワリソウを飾ってみて下さいね。
寄せ植えも楽しそうでしょ?
ただ、ユキワリソウを育てていて、いいことばかりではありません。
「枯らしてしまった」とかいう、失敗もあるでしょう。
最後にそんな悩みにお答えしましょう。
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ユキワリソウが枯れる!花が咲かない!原因と対処法は?
かわいがっていたユキワリソウが、枯れた、花が咲かなくなった……。
残念というか、悲しいですよね。
もうそんなことがないように、原因と対策をさぐっていきましょう。
・ユキワリソウが枯れた
原因はいろいろ考えられるので、いくつか挙げてみました。
原因① 直射日光に当たり過ぎたかもしれません。
対策① 遮光ネットなどを利用します。
原因② 肥料のやり過ぎかもしれません。
対策② 開花中、夏、冬は肥料は与えません。
原因③ 水をやり過ぎかもしれません。
対策③ ユキワリソウの水やりの基本は、土の表面が乾いてきたら水をやるです。
原因④ センチュウ(病害虫)の被害にあったかもしれません。
対策④ 被害部分をカット、植え付け前に土壌を消毒しましょう。
詳しくは、「育て方 ①育てる場所 ④肥料 ⑤水やり」を見てくださいね。
・ユキワリソウの花が咲かない
原因① 褐色さび病かもしれません。
褐色さび病にかかると、花芽がつかず小さないぼがついた胞子葉がのびてきます。
対策② 胞子葉は抜いて焼却します。
花後に2ヶ月間、発病した株にトリホリン剤を散布します。
それでは、ユキワリソウについて最後にまとめましょう。
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まとめ
今回はユキワリソウの育て方や増やし方などについてご紹介しました。
ユキワリソウは早春を彩る花で、豊富な色と花の変異で無限ともいえる姿があります。
強い日差しは苦手、水は土の表面が乾いてからあげます。
増やし方は、株分け、根茎伏せ、種まきです。
寄せ植えで相性がいいのは、シダ類やイネ科の植物などです。
枯れる原因は、直射日光に当たり過ぎや、水やりと肥料のやり方が悪いのが考えれます。
多様な姿を見せるユキワリソウ、栽培を楽しんで下さいね。
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